野良人inモンハン
 ~野良人・寅の旅(モンハン編)~ 
 
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人斬り子鉄(前編)
2006年10月08日 (日) 19:39 | 編集
幕末。闇から闇へと渡り歩く男が1人いた…




[01] 小鉄
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幕末、京都。

人斬り小鉄とよばれた男は、とある寺の境内で息をひそめていた。

この男、元々は百姓の出であったが、混乱する世の中が、この男に力を与えた。

力を与えたといったが、それがこの男にとって、良かったのか悪かったのかはわからない。

事実、今も敵にかこまれ、命の危機にさらされている。

足音が近づいてくる。

小鉄は息をひそめる。

小鉄を探す侍が一歩前に進もうと、前を向いたその時、小鉄が目の前にいた。

気がついたその時一瞬白い刃先がキラメキ、敵は息絶えていた。

静かに近付き、一瞬で敵を殺すこの技が小鉄の力だった。




[02] 乱世
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乱世とは、無情である。

世の中に、無数の小鉄のような男を生み出した。

もっとも、そのほとんどが、志半ばにして倒れたのだが、小鉄は幸いにして生きていた。

(いや、激動の世にあって、生きているのが必ずしも幸いではない。)

小鉄は境内から逃げさりながら思った。

元来、小鉄の田舎剣法では、今日まで生き長らえなかったに違いない。

土佐藩出身のある侍との出会いが、小鉄の運命を変えた。

その侍は、小鉄同様貧しい出であり、小鉄を可愛がり、暗殺の剣を教えた。

人斬りの名で世を騒がせたその侍も、既に死んだ。

乱世である。




[03] 時代
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幕末の乱世は、それまでの日本の乱世とは、あきらかに異なっている。

ペリー来航以来、外国の侵略を許さんとする人々が、異国に対抗する力を失っていた徳川幕府を討ち倒し、戦わんとした。

小鉄も、その一人ではあった。

幕末の乱世は大きく分けて、3つの時期に分類される。

初期はペリー来航にはじまる異国の進出に対し、弱腰の幕府を頼らず、朝廷の下に集い、異国を打ち払えという思想の全盛期。

次に幕府が力を盛り返し、そのような浪人を排除した中期。

そして、薩摩、長州、土佐を中心とする連合が幕府を破る後期。

現在は中期である。




[04] 新撰組
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さて、話を小鉄に戻そう。

追っ手から逃れた小鉄は、河原を歩いていた。

追われ、逃げる生活にほとほと疲れはてていた。

日々仲間が斬られ、もはや小鉄には仲間と呼べる者はなかった。

月明かりがあたりを照らす。

(まずいな。)

物陰に隠れながら、後をつける気配がした。

(新撰組のやつらか…)

当時、京都に住む志士達が、最も恐れたのが新撰組であった。

さきほど境内に小鉄を追い詰めたのも、彼らであった。

新撰組は多数で小数にあたる必勝戦法を好んだ。

この時も応援の到着を待っているに違いなかった。

(敵は2人か…)

小鉄は動いた。




[05] 稼業
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近くに小船が1そう打ち捨てられていた。

サッと近寄り、飛び移る。

後をつけていた2人が駆け寄ってくる。

小鉄が小舟に乗り込んだあたりまできた。

『…くそ、応援はまだか。』

『うむ。それより、君は対岸から舟を追え。』

『よし。』

上流の橋へ1人が向かった。

もう1人がそのまま小舟を追いかけようとした時、後ろでバタリと倒れる音がする。

振り返ると仲間が倒れてピクリとも動かない。

汗が流れ落ちる。

追う側が追われる側になった恐怖は小鉄は痛い程わかった。

次の瞬間には死体が2つに増えていた。

これが小鉄の稼業であった。




[06] 小鉄の場所
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疲れ果てた小鉄にも、一時の安らぎを得る事ができる場所があった。

それは鴨川のとある橋の下であった。

いつ頃であったか、今日のように追われの身であった小鉄は、その橋の下に身をひそめていた。

疲れはてていた小鉄は、そのまま眠りについた。

翌朝、幸いにも朝を迎える事ができた小鉄は、板きれに墨で書いた手紙を発見した。

小鉄は貧しい農民の出であったが、父から読み書きを習い、多少はできた。

「どなたか、これを見られた方、わたしを助けてください。」という文章ではじまるその板きれには、その女の苦しい現状が書かれていた。




[07] 便り
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そこには、実家が貧し、色里に売られた女の苦悩が綴られていた。

暗殺業を生業とする小鉄も、その女の気持ちが理解できる気がした。

(ふびんな…)

そう思った小鉄は、近くに捨てられた木ぎれに短刀で返事を書いた。

「子細存ぜぬが、世の事は全て、風に舞う木の葉のごとし。風に任さば、陽のあたる事もあろう。一日は一日の苦しみだけ耐えれば十分なり。」

刺客として、その日その日を生きている小鉄の到達した思想であった。

そう書いた板を元の板があった場所に置いた。

しばらくして立ち寄ると、板は女からの返答に変わっていた。




[08] 絆
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こうして、小鉄と女のやりとりは続いていた。

互いに、それを唯一の心のよりどころとしていたが、小鉄は自分の稼業を隠していた。

このやりとりは現在で言えば、メールや掲示板にあたるものであろう。

時に文章は語るよりも、正直な自分を伝えられるものである。

小鉄とその娘の間にも、そういった絆のような物ができていた。

小鉄は、この日も追っ手を撒いて、ここへやってきた。

そして、いつものように女の手紙を読み、返事をしたためて去っていくのだった。

小鉄には、大きな仕事が待っていた。

生きるか死ぬか。

常に歩んできた道ではあった。




[09] 計画
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京都の志士達は、新撰組のために日夜、蝿や蚊のごとく命を落としていた。

志士達は情勢が大きく幕府に傾くなか、勢力は小さくはなっていた。

しかし、それでも志士達を統制するものが完全にいなくなったワケではなかった。

なんの変哲もない、とある呉服問屋。

普段と何一つ変わらないかに見えるその日は、裏口から出入りするものが多かった。

みすぼらしい姿の侍も出入りする。

そこに志士達の元締めがいた。

小鉄も招集の目印を見て、問屋に入っていた。

そこで、元締めの口から聞いた計画は・・・。

「新撰組局長・近藤勇、暗殺」

耳を疑った。




[10] 実行前夜
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暗殺とは、スキを突き、音も立てず忍びより、一瞬にして相手の命を絶つ事である。

そのターゲットのほとんどは剣術に疎い幕閣や論客などであった。

近藤勇。

一筋縄ではいかぬはずである。

新撰組は見回りも多数で行う。

近藤も部下を何人もひきつれ行う。

この状態で襲う訳にはいかない。

がしかし、某月某日、近藤が少数である公卿邸へと向かう。

その時を狙うのである。

刺客は小鉄を含む5人。

勝算は、ある。

(しかし…)

小鉄は何かを感じている。

この男がここまで生き抜いて鍛えた勘が、何かを知らせていた。

しかし明日、決行である。
コメント
この記事へのコメント
早くっ
次待ち切れない中…
2006/10/09(月) 16:18 | URL | 北京っ子 #TjD7Q8PM[編集]
あいよ!
人斬り子鉄のお話も中編・後編をアップしました。
読んでくれて、ありがとね。
北京っ子さん。
2006/10/10(火) 09:14 | URL | 寅 #-[編集]
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